Helen Sheはイタリアを拠点に活動する、蝶をモチーフとした絵画を数多く発表しているアーティストです。

彼女の作品は独自の世界観に満ちており、芸術における自由な感性をありありと表現しています。
彼女が描き出す独特な抽象化は、多くの場合、世界中を旅した経験から生まれています。彼女にとって、見知らぬ都市や国は、新しい色、新しい解釈を与えてくれるのです。

私達とは違う視点で世界を見渡す油絵画家Helen She。そのアートのルーツや捉え方についてインタビューしました。

作品を描き始めたきっかけは？

私が絵を描くようになった理由、そしてルーツは、美しいインテリアたちでした。

私が子供の頃、私たちの家の壁は価格の高い低いにかかわらず、さまざまな絨毯で飾られていました。 そしてある時から絨毯だけでなく絵画も飾られるようになったのです。
絨毯の模様や絵画など、多くの色で装飾された空間が当時の私にとっては世界の全てであり、インスピレーションを与えてくれました。

――様々な絨毯で飾られた壁とは、まるで御伽噺のような世界ですね！
　　そこから、どのようなインスピレーションを得ましたか？ 

絨毯には動植物を中心にさまざまな柄があり、何百万もの色と明るい色合いに満ちあふれていました。それら一つ一つが、私に多くのインスピレーションを与えてくれました。

真の芸術とはありふれたものであり、私たちの身の回りで見つけられるものだと私は考えています。
現代アートには、新しい技術によって身近なありふれた美しいものたちを、傑作へと生まれ変わらせる力があります。

絵を描く上で、あなたにとって最も重要なことは何ですか？

観察者であることだと思います。私は自分の周りを見回して、他の人が見つけていないものを見つけるのが好きです。私の絵は、隠れていて他人に気付かれていないものを見つけたときに生まれます。私は、ただ黙って観察しているだけなのです。

また、個人的に絵を描く上で最も重要なことは、自由で柔軟なアイデアです。
自由な発想で行動しなければ、絵のアイデアは浮かびません。
私は感情的なアーティストです。いつもと違う体験、新しいものに触れるとすぐに絵を描き始めます。

―― なるほど。観察することによって、人々が気付かないものを見つけていったのですね。
　　 では蝶の中にも、何か秘めたものを見つけたのでしょうか？

蝶の中には数日しか生きられないものがあることをご存知ですか？

私はその事実を知ったとき、非常に「驚き」、そして「悲しみ」を感じました。
それはとても儚く、美しく感じられました。私が蝶から受け取ったインスピレーションは、蝶の持つ刹那の美の儚さとオリジナリティでした！

そのように短い命であっても蝶は種として約1億年続いていて、約20万年ほどの歴史の人間より非常に長い時間を生き抜いています。途切れることなく脈々と、新しい世代の誕生と死を繰り返しながら種を繋いできたことに驚きを隠せません。

蝶の美しさは儚く、その瞬間を捉えないとすぐに消えてしまうため、私は筆をとりました。
私の『BUTTERFLY MATRIX COLLECTION』は、自然の美しさと生命の根源を表現するために生まれました。

自然が生み出すものは、一見単純に見えますが、実は非常に複雑です。
また、自然が創り出すものは永遠に変わらないと誤解されがちですが、ある時点で、すべてが別の形に変わります。

だから、一方では自然な形で蝶を見せ、他方ではまるで新しい別の次元に存在するような、まるでマトリックスのように見せているのです。そうすることで、彼女の本質である美しさをそのままにしています。

どこにも消えず、生命の根源に溶け込むだけです。これが私の美の哲学です。

NFTなどの新技術に期待することは？

私は進歩が大好きです。世界が変わって面白くなっていくのが好きです。
新しいテクノロジーは常に未知のものであり、同時にとても魅力的なものです。

NFTは、アートが時代に合わせて変化していくことを示す典型的な例であり、興味深いプロジェクトの 1 つです。
急速に関心を集めているNFTは、芸術愛好家や若い人々がアーティストやアート作品に触れる新しい路をもたらしました。絵が生き返っていくのが、とても嬉しいです。

これから、アートが写真を超えてグローバルなデジタル世界の一部になるときを迎えるでしょう。私たちは驚くべき変革の瀬戸際にいます。

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