1. 3DVRとは？

『3DVR（3D Virtual Reality）』とは、360度カメラや3Dスキャニング技術を活用し、仮想空間上に立体的な空間を再現する技術です。VRヘッドセットやPC、スマートフォンを通じて、実際に物件を訪れるかのような没入感のある内覧体験が可能になります。

不動産業界では、バーチャルツアーを通じて、顧客が遠方からでも物件を確認できるようになり、業務効率化や顧客満足度向上に貢献しています。特に、AIやAR技術との融合によって、より没入感のある体験が可能になりつつあります。

2. 3DVR内覧サービスのメリット

1. 物件内覧の効率化

• オンライン内覧により、移動時間やコストを削減し、遠方の顧客でも詳細な物件確認が可能。
• 複数物件を短時間で比較検討できるため、購入・契約決定までのスピードが向上。

2. 不動産業者の業務効率化

• 内覧対応の手間を削減し、営業活動を効率化。
• 問い合わせ数増加、成約率向上、移動コスト削減に寄与。

3. 顧客満足度の向上

• 『写真や動画では伝わらない「空間の広がり」「間取りのリアルなスケール感」』をVR内覧で再現。
• バーチャル上で家具配置やリフォームシミュレーションが可能になり、購買意欲を促進。

3. コロナ禍での普及と技術進化

1. コロナ禍による急速な市場拡大

新型コロナウイルス感染症（COVID-19）の影響で対面内覧が制限される中、非接触型の内覧手段として3DVR技術が急速に普及しました。特に、大手不動産企業や賃貸仲介業者を中心に、バーチャル内覧が標準化され、消費者の意識も変化しました。

2. 技術革新によるサービスの進化

コロナ禍以降、3DVR技術は急速に進化し、以下のような機能が強化されました：

• AIによる自動3Dモデリング：間取り図から自動で3D化し、モデルルームなしでバーチャル内覧が可能に。
• ARとの連携：バーチャル家具配置やリフォームシミュレーションにより、よりリアルな内覧体験を提供。
• 高精度データとメタバースとの統合：都市全体のデジタルツイン化が進み、VR上で街並みの中を歩きながら物件選びが可能に。

4. 3DVR内覧サービスの注目企業7選

比較一覧表

企業名	特徴	強み	弱み
Matterport	世界170カ国 以上で導入	最高品質の3Dスキャンと 高精細3Dモデル	初期導入コストが高い
Lifeview	DX支援企業が提供	低コスト＆ カスタマイズ性の高さ	独自プラットフォームを 持たない
株式会社 ソフトメディア	3Dバーチャルツアー 撮影・制作	施設全体を360度見渡せる 高品質なVRコンテンツ	導入コストがやや高め
株式会社 スタイルポート	3DCGを活用した 未竣工物件向けVR内覧	建築図面から高精細な バーチャル空間を生成	特定用途向けで 一般の物件には不向き
LIFULL	LIFULL HOME’S運営	日本最大級の 不動産データを活用	一般ユーザー向けの 試験的サービスが多い
RICOH360	カメラメーカー発	手軽さと コスパの良さが魅力	高度な3Dモデル生成は不可
スペースリー	クラウド型 VRツール	直感的な操作性と マーケティング機能	Matterportほどの 高精細モデルは不可

① Matterport（マターポート）

【世界170カ国以上で導入される3DVR業界のパイオニア】

特徴

• AIを活用した自動3Dスキャン技術により、高精度な3Dモデルを短時間で生成。
• スマホやPC、VRヘッドセットで閲覧可能なプラットフォームを提供。
• 不動産業界だけでなく、ホテル、商業施設、建築業界、観光業界にも活用されている。

活用事例

• 大手不動産会社が導入し、物件の内覧数が約40%増加、成約率が20%以上向上。
• 高級ホテルのバーチャルツアーとしても採用され、宿泊予約の増加に貢献。

② Lifeview（ライフビュー）

【DX支援企業が提供する柔軟なVR内覧サービス】

特徴

• 360度パノラマ画像とAIを活用し、リアルな内覧体験を実現。
• VR機材なしでスマートフォンやPCから簡単に閲覧可能。
• 物件情報との連携機能やカスタマイズ性が高く、ユーザーエンゲージメントの向上に貢献。

活用事例

• 賃貸物件のオンライン内覧で初回訪問前の問い合わせ件数が50%増加。

③ 株式会社ソフトメディア

【コーディングまでワンストップのGoogleストリートビュー認定フォトグラファー】

特徴

• 3Dバーチャルツアー撮影・制作。
• 施設全体を360度見渡せる高品質なVRコンテンツを提供。
• 不動産物件の内覧やショールームのバーチャル見学に対応。

活用事例

• ホテル・リゾート施設が導入し、オンライン予約数が向上。

④ 株式会社スタイルポート

【デジタルツインで建設・不動産業界を牽引】

特徴

• 3DCGを活用した未竣工物件向けVR内覧。
• 建築図面から高精細なバーチャル空間を生成。
• 未完成の物件をオンラインで確認できるシステムを提供。

活用事例

• 新築マンション販売会社が導入し、購入希望者の成約率が向上。

⑤ 株式会社LIFULL

【LIFULL HOME’Sに搭載される日本最大級の3DVR内覧機能】

特徴

• LIFULL HOME’Sに搭載される日本最大級の3DVR内覧機能。
• AIによるユーザー行動分析で最適な物件を提案。

活用事例

• VR内覧機能導入後、成約率が15%向上。

⑥ RICOH360（リコー360）

【360度カメラ「RICOH THETA」を活用した手軽なVRツール】

特徴

• 360度カメラ「RICOH THETA」を活用した手軽なVRツール。
• 誰でも簡単にVRコンテンツを作成・共有可能。

活用事例

• 中小不動産会社が導入し、VR内覧コストを約30%削減。

⑦ 株式会社スペースリー

【直感的な操作性とマーケティング機能を備えたクラウド型VRサービス】

特徴

• 直感的な操作性とマーケティング機能を備えたクラウド型VRサービス。
• データ分析機能を活用し、顧客の行動を可視化。

活用事例

• 大手不動産会社が導入し、オンライン内覧者の平均滞在時間が1.5倍に増加。

5. 市場動向と今後の展望

3DVR内覧サービス市場は年々拡大しており、技術革新とともにさらなる成長が見込まれています。今後の展望として、以下のような動向が予測されます。

• 5G/6Gの普及により、リアルタイムのVR内覧体験が向上。
• メタバースとの統合により、仮想空間上での不動産取引が現実化。
• AIによるレコメンド機能の発展により、個々のユーザーに最適な物件提案が可能に。
• データ解析技術の発展で、顧客のVR内覧データを活用したマーケティングが加速。

3DVR技術は、不動産業界だけでなく、観光・教育・医療・小売業界などでも活用が進み、新たな市場を生み出していくことが期待されています。