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「場所で体験する」ロケーションベースVR/XRサービス5選|施設型からB2B向けまで注目サービスを紹介
目次
VRゴーグルを被って自分の足で歩き回る——ロケーションベースのXR体験が急速に広がっている
自宅でVRゴーグルを装着して楽しむ「ホームVR」とは別に、特定の場所に足を運んで体験する「ロケーションベースVR(LBVR)」が近年大きな注目を集めています。広大な空間を自由に歩き回るフリーローム型、現実の場所をそのまま異世界に変換するMR型、企業のイベントや観光地にXR体験を導入するB2Bプラットフォーム型など、そのアプローチは多岐にわたります。
ロケーションベースエンターテインメント市場は年間20%以上の成長率で拡大しており、2026年には約60億ドル規模に達する見込みです。日本国内でも施設型・サービス型の双方で新しいプレイヤーが続々と登場しています。
本記事では、いま注目のロケーションベースVR/XRサービスを5つ厳選してご紹介します。
1. IMMERSIVE JOURNEY(CinemaLeap)
タイプ:フリーローム型XR体験施設
IMMERSIVE JOURNEYは、2024年12月に横浜駅直結のアソビル3Fにオープンした国内最大級のXR体験施設です。約1,000平方メートルという体育館並みの空間を、VRゴーグルを装着したまま自分の足で自由に歩き回れる「フリーローム型」が最大の特徴です。

開館第1弾コンテンツ「Horizon of Khufu」は、古代エジプトのクフ王のピラミッド内部を探索する体験で、フランスのExcurio社が制作。世界10都市以上で累計100万人以上が体験した実績を持つ作品の日本初公開として話題を呼びました。体験時間は約45分、1〜4名のグループで参加可能です。

2025年以降は名古屋にも拠点を展開しており、今後も全国展開が期待されます。
2. TYFFONIUM(ティフォン)
タイプ:MR(Mixed Reality)体験型エンターテインメント施設
TYFFONIUMは、日本発の次世代XR体験施設として、お台場ダイバーシティ東京プラザと新宿の京王プラザホテルに拠点を構えています。VRとリアルを融合させたMR(複合現実)技術を用いた独自のアトラクションが特徴で、自分の手や一緒に体験する仲間の姿がVR空間内にも映し出されるため、没入感と共有感の両立を実現しています。

自由歩行型ホラーコンテンツ「コリドール」や、海底探索をテーマにした座席型「フラクタス」など、ジャンルの異なる複数のアトラクションをラインナップ。特にホラー系コンテンツの没入感は高い評価を受けています。
ホテル内への出店という業界初の試みも注目ポイントで、観光やレジャーとの親和性を活かした新しい体験提供のモデルを示しています。
3. STYLY(STYLY Inc.)
タイプ:ロケーションベースXRプラットフォーム(B2B)
STYLYは、都市や施設を舞台にしたロケーションベースのXRコンテンツを、制作・管理・配信までワンストップで提供するXRプラットフォームです。上記2つの「施設に行って体験する」モデルとは異なり、企業や自治体がSTYLYを使って自分たちの場所にXR体験を導入できるB2Bサービスという位置付けです。

2025年にはpalanとの経営統合により、スマートフォンで手軽に体験できるWebARから、ヘッドマウントディスプレイを活用した本格的なLBE(Location-Based Entertainment)まで、幅広いニーズに対応できる体制を構築。最大50台のHMDを同期できるネットワーク機能をオープンソースで公開するなど、業界全体の発展に寄与する姿勢も見せています。
2025年6月には「STYLY World Canvas」の提供を開始し、全世界の任意の場所を対象にXR体験を配信できるソリューションへと進化しました。
4. Sandbox VR
タイプ:フリーローム型VRエンターテインメント(グローバル展開)
Sandbox VRは、フルボディトラッキングとモーションキャプチャー技術を活用した、グループ参加型のフリーロームVR体験を提供するグローバル企業です。累計売上高は2億ドル(約300億円)を突破し、2025年だけで29の新拠点をオープンするなど急速に拡大しています。

最大6名で同時参加できるゲーム型のVR体験が中心で、参加者全員の動きがリアルタイムでVR空間に反映されるため、友人やファミリーでの来場に適しています。映画やゲームのIPとコラボレーションしたコンテンツも多く、体験後に自分のプレイ動画をシェアできるSNS連携も特徴的です。

現時点では日本未進出ですが、アジア太平洋地域への積極展開を進めており、韓国やフィリピン、オーストラリアなど近隣市場への参入が始まっています。
5. ロケーションVR GATE(NILL × IZUTSUYA)
タイプ:マーカーレスXR体験サービス(B2B)
ロケーションVR GATEは、株式会社NILLと株式会社IZUTSUYAの協業によって生まれた、ロケーションそのものをコンテンツ化するXR体験サービスです。マーカーレスモーションキャプチャーシステム「AR51」を活用し、デバイスをかざすだけで目の前の空間がファンタジーや太古の世界に変わる体験を提供します。

本サービスの特徴は、VRゴーグルが不要で手持ちデバイスだけで体験でき、モーションスーツやマーカーの設置も不要なため、イベント会場や展示会、商業施設、観光地など多様なロケーションへの導入が容易な点です。AR51は100人以上の同時キャプチャーに対応しており、大規模なイベントでの運用にも対応できます。
VR/MR領域でモーションキャプチャディレクションの実績を持つNILLが体験設計とXR実装を担い、デジタルアセットカンパニーとして3D Gaussian Splattingプラットフォーム「3Dasset.io」を運営するIZUTSUYAが実空間の3D/4Dデジタル化技術を提供。「場所がコンテンツになる」新しいXR体験の市場創出を目指しています。
まとめ
ロケーションベースVR/XRは、「施設に行って体験する」エンターテインメント型と、「企業や施設が自分たちの場所に導入する」プラットフォーム型に大きく分かれます。IMMERSIVE JOURNEYやTYFFONIUM、Sandbox VRのような施設型は、一般消費者に向けた高品質な没入体験を提供。一方でSTYLYやロケーションVR GATEのようなプラットフォーム型は、イベントや観光地、商業施設など、あらゆる場所にXR体験を届ける基盤として機能しています。
年率20%以上の成長を続けるこの市場で、日本発のサービスがどのような存在感を示していくのか、今後の展開に注目です。