hinata

account

Magazine

3DCG

メタバース×着物×NFT×京友禅「草稿」。Web3.0時代のテクノロジーと伝統美で化学反応を起こす「aNone」氏の新時代クリエイティブワークとは

3DCG | 2022.12.22

Text by Hinata official

  • Feature
  • Interview
  • KYO"NEXT"YUZEN

 自分のアバターを使ってインターネット上の仮想空間で世界中の人間とコミュニケーションを楽しむことができる『メタバース』。
 Web3.0の技術が集約された最先端のデジタル世界へ日本の誇る着物文化を広めるべく、着物のアバター作品を創り出している「ANONE」氏に、なぜメタバースという新たな世界で活動をしようと考えたのか。そして、創り出す作品に込められた思いや願いを伺いました。

『着物×最先端技術』 一つの方法に縛られない発想力

―― この度は「HINATA」の京友禅コラボ企画にご参加いただきありがとうございます。
   まずはaNone先生の活動についてお伺いできますか?

【aNone】
【着物×最先端技術で未来を創る】をテーマに未来着物NFTというプロジェクトを個人で運営しています。
現在メインで行っているのは、メタバースのなかで着物を着る文化を創るNFTプロジェクトMetaverseKimonoです。
メタバースで使える着物アバターを制作してNFTを活用して販売をおこなっています。
今後、MetaverseKimono以外にも着物のリメイクブランドや、NFTとフィジカルの着物を掛け合分けた企画などをいろいろ計画中です。

―― デジタル分野だけでなく、本物の着物のリメイクまでされるんですか!
   一般的には、絵や音楽など特定の方法の中でテーマや目的を表現されるクリエイターが多いと思いますが、aNone先生は方法を問わず色々なアプローチで活動テーマを実現されているんですね。

【aNone】
そうですね。
もともと、学生時代はアートと染織を芸術系の大学で学んでいたので、自分でも布を染めたり織ったりもしていました。
現在は未来着物クリエイターという肩書で、これからの未来の着物文化を創るためにできることはなんでも挑戦しています。

伝統を変えるのではなく、伝統の隣に新たな価値観を創りたい

―― 『メタバース着物』は、仮想空間上のアバターが着用するファッションですよね。
   aNone先生はなぜメタバースファッションで、さらに着物の作品を作ろうと思ったのでしょうか?

【aNone】
私がメタバースで着物ファッションの作品を作ろうと思ったのは、メタバースやNFTなどから着物や工芸に興味を持ってもらう人を増やし、現実世界の着物文化を盛り上げていき、今よりも世界に着物姿を増やすことが目的です。

着物の業界はデジタル化も遅れていて、ものすごく閉じられています。ビジネスモデルもですが、新しい人材も入りづらい状態にあり、何十年も前から変化があまりない状態です。
そんな分野である着物に、少しでも変化を起こして新しい文化を創りたいと思っています。
着物を伝統としてだけでなく、新しい文化にしていきたいです。今の着物文化を変えるのではなく、新しい価値観を隣に創りたい。

着物というと伝統的なもの、歴史的な背景、行事ごとや習い事などの礼装のイメージが強いと思いますが、着物にもいろんなジャンル、着方、楽しみ方があることを世界に広め、最先端のファッションとしての着物文化、コミュニティー作りを目指しています。

―― そうですね。かつては身近な普段着であったはずなのに、今は特別な時に着るイメージが強いです。
   着物そのものは可愛い、美しいなどで好きな方は多くいますし、イラストなどではよく見られる身近な存在だと思いますが、実際に着るという話になるとちょっと距離を感じます……。

【aNone】
はい、残念ながら着物は現代においてマイノリティーです。
ただ着物を着ているというだけでも着物を着ているというだけで注目されたり、異質な空気感になったりしますよね。さらに着物を着ている人たちの中でも、着方や楽しみ方で派閥のようなものが存在します。
ただでさえ少ない着物人口の中で誹謗中傷があったりと、着物ユーザーの環境にも問題はたくさんあり、そういった部分が新たに着物を楽しみたい人の敷居を上げてしまったり、自由に着たい気持ちを邪魔してしまっている。

だから、未来着物NFTでは他人の『好き』を否定しない。
自分と他人は別の感覚を持った人間であり、お互いの想いを尊重しあえる文化を創ることも大きなテーマにはなっています。

ツールであり、マーケティングであり、アプローチ。新たな着物制作の形を模索する

―― リアルの衣服は布を加工するイメージがすぐに浮かびますが、メタバース着物はどのように作るのでしょうか?

【aNone】
3Dのアバターを作っていると言うと驚かれることも多いですが、私自身は3Dの知識はほとんどありません。
現在は制作ソフトがかなり充実していますので、全く3Dの知識がない初心者の方でも作ろうと思えばアバター制作は可能です。
ゲームなどでよくある自分の主人公キャラクターのキャラメイクのようなイメージですね。
顔や服装のパーツを選んだりしてオリジナルアバターを作るだけならだれでもできる時代です。本当に便利な時代になっていると思います。
私も基本はそのようなかなり簡単にアバターを制作できるソフトを使っています。
着物のアバターの場合は、最初に着物や帯のベースの形を3Dで制作する必要はあるのですが、着物は基本のシルエットがほとんど同じなため、ベースができてしまえばあとは着物や帯の柄の制作がメインの作業になります。

私の場合は、NFTとメタバースで現実世界の着物文化を盛り上げることが目的なので、デジタルの中の着物であっても必ず現実でも制作可能な柄になっているかを大切にしています。
そのため、染物なのか織物なのかで、できるデザインが違ったりテキスタイルデザインとして布地の繰り返しのパターンになった時に美しい柄になっているかを必ず確認します。

―― イラストなどですと『正面だけきれいに見える』とか『実際の構造は考慮しない』といった、デジタル上で見栄えのよい衣装デザインがほとんどですが、aNone先生の作品はあくまで現実の着物のためのデジタルデザインなんですね。

実際にメタバース着物から本物の着物が制作されている

【aNone】
そうですね。
紙にデザイン画を制作するのか、3Dモデルにデザインを制作するのかの違いはありますが、着物の制作過程としては大きな違いはありません。
私としてはメタバース着物は新しい着物制作の形を試行錯誤して作っている段階だと思っています。

今まで着物に限らず服などのデザインは、実際に現実の衣服になって店頭に並ぶまではユーザーの意見を聴くことはほとんどできませんでした。
しかし、メタバースの衣服としてデザインを発表することができれば、まずはアバターのファッションとして楽しんでもらうことで感想を聞くことができます。
アバターファッションとして人気があるものから実際の着物として制作販売を開始できますし、そもそもメタバースから着物を着る文化を創り、同じ着物が現実でも着ることができるようにしておけば、いままで現実では着物を着たことがなかった人たち魅力を届けることもできます。
NFTから産まれたキャラクターのIPとのコラボなどもできるので着物という文化を広く新しい層に届けられる可能性があるとも感じています。

―― なるほど。3Dファッションですと、製造コストや在庫コストがかかる前のマーケティングと見ることもできるんですね。

【aNone】
正直なところ何が正解なのかは全く分からないのですべてが手探りなのが難しいところですが、だからこそ、新しいことにどんどん挑戦できるところが最も面白い部分ではあります。

まだ、私自身のアバター制作技術は未熟なため、もっと技術の向上を目指していき、現実でできる着物ファッションは全てメタバースでも再現できるようにしていきたいと思っています。
現実世界で着物を着てコーディネートする楽しみ、お出かけする楽しみをメタバース上でも同じように楽しめる未来を目指します。

伝統を再構築し、新たな世界へ

―― 京友禅のデザイン画である「草稿」ととコラボレーションするにあたって、どのようなデザインコンセプトを考えましたか?

【aNone】
今回のコラボ作品のテーマは『伝統の再構築』です。

関谷染色さんが所有する草稿を使用するにあたって、私が考えたコンセプトはいつもの制作とは反対の方向性でした。
普段はデジタルから現実世界の着物を盛り上げることを一番の目的にしていますが、今回はスタートが現実世界に実際に存在する草稿から始まっています。
そこで、現実世界の草稿を一度デジタル上の着物アバターとして変換し、そこから未来の着物を作るとどんなデザインになるのかを考えました。

―― 通常の着物では難しい、ほのかに光っているような色合いはまさにデジタル感と未来感ですね!
   伝統工芸のデザインで、しかも伝統衣装である着物に施しているのには、新しい世界観を感じます。。

【aNone】
今回使用させていただいた草稿は本当にすばらしく、まさしく草稿そのものが芸術品のような魅力があります。
そこで、できるだけ草稿の美しさをそのままに訪問着の着物アバターとして制作しました。

伝統工芸にNFTとメタバースを組み合わせることで今まで着物に興味がなかった方にも、本物の京友禅の草稿の美しさを届けれればと思います。

着物が最先端の文化であり続けるために、過去の文化にしないために

―― メタバース着物ということで、aNone先生の作品は文字通り新世界へと羽ばたいていくわけですが、クリエイターとしてご自身はどのような世界観を描いているのでしょうか?

【aNone】
私が考えている未来は、常に着物が最先端の文化であり続ける未来です。
私より着物や工芸の伝統的な魅力や歴史に詳しい人はものすごくたくさんいますし、その分野は私が頑張るポジションではないと思っています。
現在は、NFTやメタバースで現実の着物を盛り上げるための活動がメインですが、5年後にはもしかしたらNFTではなく違う最先端技術かもしれません。
私自身は常に最先端の技術と着物や工芸を組み合わせることで、新しい可能性を切り開いていけるようになりたいと思います。

メタバースそのものはどんなに早くても普及まで3年ぐらいはかかると思います。
メタバースが本格的に普及してきたときに現実の着物文化とメタバースの着物文化をしっかりと繋げておくことが私が今現在目指している部分です。

―― 単純にメタバースの中で着物が流行ればいい、というわけではないのが大変なところですね。

【aNone】
そうですね。
実際、本格的にメタバースが普及してきたら、おそらく着物アバターも今よりたくさん作られると思います。
メタバースの中でしか着れないデジタルだからこそ着れる着物も増えると思いますし、日本に限らず世界でも人気が出るかもしれません。

しかし、その時に現実の着物と繋がっているのかがとても大切になります。
着物のメーカーや職人がメタバースと繋がっていない場合、着物はメタバースの中でだけ着る物になってしまいます。
メタバースで着物のアバターが流行ることがあったとしても、その人気が現実の着物人気に繋がる土台を作っておかないと、現実の着物業界には全く影響がありません。
今からメタバースやNFTを現実の着物文化と繋げておいて、しっかりと土台を作っておかないと着物はアニメや漫画、ゲームの中だけで着る衣服になってしまいます。

現実世界にアバターをARで展示。今後メタバース内での販売も計画中。

―― このまま変化がなければ、本当に着物が『過去の文化』になってしまうんですね。

【aNone】
現在の着物制作の現状、職人さんの後継者問題などはかなり深刻です。あと20年もしたら伝統的な着物はほぼ作れなくなる可能性もあります。
着物文化を未来に繋いでいくためにも、伝統は大切にしながら常に変化していくことが大切だと思います。

世界への展開についても、現物の着物を世界に向けて販売するのは簡単ではありません。着物のサイズの問題、着方や手入れ、文化の問題などハードルはいろいろあります。
そういった意味でもまずメタバースから着物を着る文化を創ることが大切だと考えています。誰でも気軽に着物を着る体験ができる。 着物のハードルをとことん下げたうえで、まず着物に興味を持ってもらえる人を増やしていくためのメタバース着物です。

さらにNFTも組み合わさることで、一緒に文化を創る仲間を増やすことができます。同じように工芸や伝統文化をメタバースやNFTで盛り上げたい仲間が増えることで工芸とNFTの可能性を広げていけると考えています。

私が進めている未来着物NFTの活動に共感いただく人を増やし、着物を今以上にたくさんの人が、国や人種、思想を超えて自由に楽しめる未来を目指していきたいと思います。

―― デジタルの力を通じて伝統工芸を守り発展させていきたいという点は、HINATAの目指すところでもあり、スタッフ一同非常に共感する部分でした。
   今後の活動も期待しています!

aNone 《MetaverseKimono AKEBONO×SEKIYA-SENSHOKU-月夜》

京友禅の伝統美を現代に、未来に。『KYO ” NEXT” YUZEN』プロジェクト

 「HINATA」では、株式会社 関谷染色とともに立ち上げた「KYO ” NEXT” YUZEN」プロジェクトを推進しています。
 「KYO ” NEXT” YUZEN」プロジェクトは、京友禅のデザイン画として制作された「草稿」を、デジタルデータへ変換し、NFT化し販売することで、京友禅の伝統的なデザインを保存し、未来へ伝えることを目的としています。
 さらに、現代の各ジャンルのアーティスト・クリエイターと、伝統工芸の京友禅をかけ合わせることによって、新たなイマジネーションを生み出すことも積極的に行っています。

 KYO ” NEXT” YUZEN https://www.official.hinata-nft.com/sekiya-sensyoku/

 イラストレーター、写真家、書家、デザイナーなどなど、どのようなジャンルのアーティスト・クリエイターでも歓迎です。
 京友禅とともに描く、新たなイマジネーションをお待ちしています!

 お問い合わせ:info@hinata-nft.com


ANONE

未来着物NFTは日本の着物デザイナーが作る。NFTコレクションのシリーズです。未来の着物文化を創る。着物にもいろんなジャンルや着方、考え方があって、そのすべてが魅力的であることを伝えたい。違う考えを否定するのではなく、違いを認めあう世界を創りたい。着物と洋服。現実とメタバース。価値観の違い。
境界線を越えていく着物ブランドがここから始まります。


WORKS

ANONE

Recommended

  • BOOKOFF開催のアップサイクルデザインコンテスト「Reclothes Cup」のグランプリ作品が3Dアセットに!

    Campaign

    2024.06.05